この愛、スイーツ以上
楽しそうに笑う副社長の顔も拭いていた私は動きを止めた。

今気付いたが、なんでこんなにも接近していたのだろう。


「由梨?」

「このくらい拭けば大丈夫ですかね! 帰ったらすぐお風呂に入って、体を温めるといいですよ」

「ああ、そうだな。由梨も温まったほうがいいから、すぐ帰ろう」


私の家に向かう途中で副社長は何度かくしゃみをして、鼻をすすっていた。

我が家に寄ってもらって、父の服にでも着替えたらどうかと話したが、急いで帰るから大丈夫と断られた。寒そうにしていたから心配になったが、強く引き止めることは出来なかった。

ここで時間をとって、帰るのが遅くなるより早くに帰って温まって欲しかった。

だけど、濡れた状態で帰すことをせず、無理やりにでも着替えてもらえばよかったと後悔することになる。

それと、雨が濡れたせいでバタバタしてしまい、プロポーズの返事をしていなかったことにお風呂に入ってまったりとしている時に思い出した。

いつ返事をしよう……。
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