この愛、スイーツ以上
でも言われてみれば、最近の彼はどんな表情も隠さない。分かりやすくなったというか素直になったというか。


今もチョコが入っている蓋を開けて、目を輝かせていた。まるで子供のようだ。家で食べてと言ったのだが、今すぐ食べたいと車の中で開けた。


「うん、美味しい! 由梨、美味しいよ」

「よかった」

「由梨も食べる?」

「私はいいです。涼太さんのだから涼太さんが食べて」


実は何個か味見だと食べたので、私は充分味わっている。たった四個しかないのだから、涼太さんに食べてほしい。


「ほら」

「えっ? それを食べろと?」


彼の口からチョコが半分ほど顔を出していた。つまり口移しであげるというのだ。

私の問いにチョコを加えたままで涼太さんは頷く。整った顔が少し崩れていて、ちょっとお間抜けな顔になっているのが笑える。

私は車の外をキョロキョロと見渡した。通行人に見られていたら恥ずかしい。

幸い誰もいなかったから、顔を近付けてチョコをかじった。

が、その瞬間……
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