俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
「……なに浮かれてんだよ」

大河が半眼でこちらを睨む。声は不機嫌極まりない。

「う、浮かれてなんかないから!」

「真っ赤な顔でなに言ってんだ」

「これは……びっくりしただけで」

「篠原相手にときめいてんじゃねぇよ」

大河はおもむろに立ち上がると、デスクを挟んで反対側に立つ私をちょいちょいと手招いた。
彼の手の届く範囲まで近寄ったところで、私の額をデコピンが襲う。

「痛ぁっ」

けれど私が異議申し立てをする余地もなく、大河はかみつきそうな目で私を睨んだ。

「俺の知らない間に、篠原と随分仲良くなってんじゃねーか」

「そんなこと……」

「どうやってあのカタブツを一日で口説き落としたんだ? 俺にもやって見せてくれよ」

大河はうしろ向きでデスクに腰を乗せると、体を捻って身を乗り出し、私の顎をくいっと引き寄せた。

「く、口説くなんて、そんなことするわけないでしょ!」

「ならお前は天然の小悪魔なのかもな。誤算だ。篠原がお前になびくとは思わなかった」

「誤解だよ、篠原さんは私のことなんて――」

「本当にそう思ってんのか?」

大河はわずかに目を細くすると、執務卓をぐるりと回り込み私の正面へやってきた。
< 115 / 173 >

この作品をシェア

pagetop