俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
変な緊張感でガチガチになった私に、大河はそっと囁いた。

「前にも言ったと思うけど。無理して頑張る必要はないんだぞ? いきなり活躍できなくても、ちょっとずつ時間をかけて仕事を覚えてくれればいいんだし――」

不意に大河の右手が伸びてきて、私の頬に優しく触れた。
そのまま髪を絡めとって、耳の横をすり抜けベッドの上を流れていく。

「――俺としては、お前が隣で笑ってくれてれば、それで……」

愛おしげに指で髪なんか梳いて囁くものだから、息をするのも忘れてしまう。
こんなの、友達同士でやることじゃないのに。

「無理に働こうとしなくても、俺はかまわない。なんなら社長秘書じゃなくて、俺の専属秘書でもいい」

「専属秘書……?」

「パートナーって言えば、わかるか?」

一瞬解釈の仕方に悩んで、猜疑心が胸中で渦巻いた。
私の動揺に気づいているであろう大河は、まさか弄んでいるのだろうか、私の左手を取り指を絡めてきた。

「なあ、莉依。俺と、結婚するか?」

耳を撫でた柔らかな囁き。これは――プロポーズ?
嬉しいとか、幸せとか、そんな冷静な感情はまったく湧いてこなくて、ただただ疑念だけが頭の中を駆け巡る。

「どうして急に、そんなことを言うの……?」

「どうして……って?」

「だって……おかしいでしょ? 付き合ってもないのに、結婚なんて……」
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