俺の花嫁~セレブ社長と愛され結婚!?~
そして大河の言う通り、私の控えめな顔つきもプロの手にかかれば魔法のように艶やかになり、目鼻立ちがくっきりとした自立系美人に変身した。

「すごい。私、美人に見える」

メイクの力の偉大さに、思わずぽつりとこぼすと。

「なんだ、今さら気がついたのか? お前はずっと美人だったぞ」

平然と言い切った大河をぎょっと鏡越しに見る。
横に立っていた美容師さんが、微笑ましそうにクスクスと笑った。

「明日からはこれで出社しろ」

「再現できない」

「再現させろ」

首から上だけ黒髪美人を作り上げたあと、大河は私を高級ブティックへと連れて行った。
知らないブランドだったけれど、その店の様相と店員の身のこなしを見ればわかる。これはかなり上質な、何万もする服が置いてあるところだ。

「お前、明日から会社に着ていく服、あるか?」

「スーツ、だよね?」

「リクルートスーツじゃねーからな。それから、安っぽいのもやめろよ」

安いって、いくらまでだろう。この店が基準だとしたら、私は普通の服を一着も持っていないことになる。
なにも言えなくなってしまった私に、店員と大河は垢抜けたビジネススーツの上下セットを何枚も持ってきた。
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