優等生、中川君。
「…中川君。」
図書室に入ると、手前の本棚で中川君が本を探していた。
「あぁ、こころさん」
「なに、探してるの?」
「んー…難しい奴」
そう答えると、中川君はまだ難しい゙本を探し始めた。
「はぁ…」
自然に、ため息が出る。
「………」
中川君は黙々と探す。
はぁ、とまた、ため息をつく。
一番後ろの一番端っこまで来て、中川君がやっと「あった」と一言言った。
「ね、こころさん」
「ん?」
「さっきから、どしたの」
「……なにが?」
「ため息。」
中川君が本を見つけるまで、あたしは何度も何度もため息をついた。
原因は、あの先輩。