優等生、中川君。
「また、告白されたの。」
「ふぅん。こころさん、美人だしね。」
本をパラパラめくりながら、中川君は言う。
「モテないけど…その先輩に、明日も来るとか言われちゃって。」
「……それが、ため息の原因?」
「うん…」
あたしは、後ろ側の本棚にもたれかかって、そう答える。
「どうして?」
中川君は、パラパラとめくっていた本を、パタンと閉じた。
「え?」
そしてあたしを見て
「どうしてそんなにため息ついてるの?」
と聞いてきた。
「どうしてって…」
困ってあたしは、頬をポリポリかく。
「んーとね」
「うん」
「………んーと……」
理由を考えていると、中川君はまた、パラパラと本を読み始めた。
「…断る理由が見つからないからかな」
「ふぅん」
「サッパリしてないのあんまり好きじゃないし…」
「…ふぅん」
「なんだろう…」
と言うか、中川君は本当に聞いてんのか。
「分かんないや。」
あたしがそう言うと、中川君は本を閉じて、あたしに接近してきた。