chocolate mint
「分かりました。……俺は葉山さんの事、信じてますから」



はい、と、目の前に何かをつき出されて、反射的に手のひらで受け取った。



それを見て、キュッと胸が締め付けられる。



手のひらに落とされたのは、チョコミントのタブレットだった。



「葉山さん、それいっつも食べてますよね。あっ、そう言えばおとといーー」

「……うん、ありがとう瀬尾。お疲れ様」




裕介には、ニコニコと話かけてくる瀬尾の言葉がほとんど聞こえていなかった。




「…………おとといは大丈夫でしたか?って聞きたかったのになー」


もし、おとといの夜に店に忘れ物を届けに来た人が裕介の彼女だったら……


何か有紗にキツいことを言われてしまったのかもしれない。


それが原因だったとしたら、今の裕介のおかしな様子も納得がいくような気がした。



まぁ流石と言うか何と言うか……仕事中は見事なくらいにニコニコキラキラとしていて完璧に王子として働いてはいたのだけれど。



「……じゃあ、あの人はやっぱり葉山さんの彼女さん……だったのかなぁ」



瀬尾はその事が気になっていたのに、裕介に聞くことができなかった。



話を途中で遮った事なんてまるで気がつかずに、今にもため息を吐きそうなほど暗い顔をして事務所を出て行った裕介を、瀬尾は黙って見送るしかなかった。


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