chocolate mint
***


「香織ちゃん……ちゃんと食べてるかな」



新店舗に向かう間にも、思わず独り言を呟いてしまう。



昨日丸一日食事を採らなかった香織ちゃんが心配で、今朝家を出る前にお粥を作って置いてきた。



僕の事は嫌いでも……構わないから、お願いだから少しだけでも食べていて欲しい。



早番勤務の後で新店舗に行く約束をすっぽかしてしまっていたから(って言っても一方的に『来い』って言われただけなんだけど……)、もし香織ちゃんが早めに帰って来ていたとしても、様子を見に帰る事もできない。



それに、前に香織ちゃんには遅番+ラストの勤務だと言ってしまっている。



これで僕が勤務の時間に家に戻ってしまったら、また自分のために仕事を休ませてしまったと、香織ちゃんは絶対に気にしてしまうはずだから。




……さっきの瀬尾とのやり取りといい、もう本当の事を隠しているのがいい加減辛くなってきた。


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