chocolate mint
女の子らしい可愛らしいワンピースを着たその姿には似つかわしくないほどの鬼気迫る表情でやって来たその女(ヒト)は、ふわふわとしたボブヘアーを揺らしながら辺りをぐるりと見回した。
そして、香織ちゃんの座っているテーブルの方へ視線を向けると、カツカツと足音を立てながら、一直線に歩いて行った。
やがて壁の向こうから、バンッ!とテーブルを叩く音と、「亨さんと別れてください!!」とその女の叫ぶように訴える声と、「望、どうして来たんだよ!」と菊井の驚いたような声が立て続けに聞こえて来た。
………………嘘だろ。
どうして……この女が此処に現れるんだよ。
何で香織ちゃんと菊井の会話に割り込んで来るんだよ。
『望』なんて、菊井から親しげに呼ばれて。
「だって、亨さんの事心配だったから……」
「どうして亨さんは、この人じゃないと駄目なんですか?この人……亨さんの事、全然愛してないじゃないですか!」
「プロポーズを見ても関係無いって顔してさっさと帰って、連絡もして来ない……どれだけ亨さんが苦しんだか分かってますか?」
……そして菊井を『亨さん』と呼んで、まるで彼女のように振る舞っているなんて。