完璧幼馴染の仮面が崩れるとき




「なんか...余裕すぎてムカつくわね」


私がそう呟くと

「それはすげー褒め言葉だわ。どーも」


なんてまた笑うアイツ。
ほんっとに腹立つ~。なんて思っているといつの間にか立ち上がった彼に右腕をぐっと持ち上げられて

「茉莉花もう飲みすぎ。帰るぞ」

なんて言われた。

「まだ大丈夫よ」

「いいや、もうやめとけ」


私が引き寄せようとしたグラスを横からすっと取り上げると、「マスター会計で」
なんて言ってすっとカードを渡す。


「ちょっと!自分の分は自分で払うっていつも言ってるでしょ?」


私がそう言っても私の言葉をフル無視で自分のジャケットを脱いで私の肩に掛ける彼。


「女に払わせるほど俺の懐狭くねぇし。
マスター、ご馳走でした」


そう言って私の肩をすっと自然に引き寄せて店を出る。1つ1つの耀のスマートな動作にときめく私の胸。


外に出ると10月の夜のひんやりした空気が私の首元に触れる。
肩に掛かったジャケットは結婚式のドレスを着ていて肌が出ている私に気を遣ってくれたのだと今ごろ気がつく。



はぁ~。かっこいい...。本当にうっとりするほどかっこいい。



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