先生、ボクを飼ってよ
額に血管を浮かべた男が、佐伯さんに殴りかかろうと腕を上げたが、それが降りることはなかった。
「気持ちはわかるが、暴力はよくねえな、お兄さん」
タイミングよく現れた田辺君が、男の腕を掴んでいた。
田辺君は手を離すと、今度は佐伯さんを抱き寄せた。
「あと、こいつは俺の女なんだ、大人しく失せろ。そうしないと痛い目に遭うぞ」
田辺君がそう言うと、男は怯えたような顔でいながら、鼻で笑った。
「今度はお前が暴力振るうのか?」
「いいや、違う」
田辺君が言い終えると同時に、男が鈍い声を出し、お腹を抱えて背中を丸めた。
そして、男たちはそのままどこかに逃げ去っていった。
「嘘……」
私はなにが起こったのかわからず、思わず声を出してしまった。
「あれ、繭先生いたの!? うわ、どうしよう!」
私に気付いた佐伯さんが、慌てている。