先生、ボクを飼ってよ


これは、教師の目の前で暴力を振るってしまい、どうしよう、ということだと思う。



つまり。



ナンパ男を殴ったのは、佐伯さんということになる。



「どうもしなくていいだろ。森野、生徒が危険な目に晒されかけていたのに、動けなかったんだから、誰にもなにも言えねえよ」



田辺君の言う通りだ。



私は、見ていただけ。



「……ごめんなさい、佐伯さん」



私は頭を下げた。


帯のせいで、そこまで深く下げることは出来なかったけど……



「え、ちょっと待って、どうして先生が謝るの?」



私が頭を下げたからか、謝ったからかはわからないけど、佐伯さんはうろたえた。



「私、なにも出来なかったから……教師なら、生徒を守らないといけないのに……」


「気にしないでよ。あたし、元気だし。ね?」



佐伯さんはそう言って、可愛い笑顔を見せてくれた。


浴衣や、いつもと違う髪型だからか、女の私でも見惚れる。
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