先生、ボクを飼ってよ


「はい! 焼きそば!」



佐伯さんが元気よく手を挙げ、提案した。



「賛成」



その上がった手を、田辺君が握った。


そしてそのまま、焼きそばを買いに人混みの中に入っていった。



「先生は? なにか食べたいもの、ないですか?」



瑞貴君は二人のあとには続かず、私に聞いてきた。



「特には……」


「じゃあ、祭りと言えば?」


「……たこ焼き?」


「よし、それを買いに行きましょう」



瑞貴君は自然と私の手を取った。



「え……」


「あ、ごめんなさい。これだけ人がいるし、慣れない浴衣だし、と思って……ダメでした?」



……私、瑞貴君の子犬のような目に、弱いのかもしれない。



この目を向けられたら、ノーと言えない。



だから、私たちも手を繋いだまま、たこ焼きを買いに行くことにした。
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