紳士的上司は愛を紡ぐ
「年末、期待してるからな」と言い残して去っていく彼とは反対に、
「麻里ーーー!!久しぶりに共演できて、本当に嬉しい。頑張ろう!」
と涼子が飛びついてきた。
昨年に引き続き司会を担当する彼女が居ることは、大変心強い。
「さっきの聞いてた、やっぱり麻里はどこにいても、単なる女子アナじゃないんだって。」
彼女の言葉が背中を押す。
自信が無くて、自分勝手につまらない意地を張っていたが、答えはこうも簡単に出るものだったのかと拍子抜けする。
周囲は私を見てくれていた。
その期待に応えられるかどうかという不安よりも、今はもう、応えたいという情熱の方が自身の心を包み込む。
"彼"の隣でなくたって、私は大丈夫。
アナウンサーとしての自信と誇りを再確認した7度目の年末は、もうすぐそこ。