私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「私は今まで石堂さんのところへ来た人たちとは違います。私の気持ち、信じてくれませんか?」

難攻不落。

石堂慧という人はそんな言葉がぴったりな人物だった。それと同時に、それなら私が一番初めに陥落させてみせる。というチャレンジ精神が煽られる。
にらめっこするようにどちらも視線を外すことなく、石堂さんと私の視線がぶつかる。

すると……。

「はぁ、面倒くさい女」

先に視線を逸らしたのは石堂さんの方だった。けれど、その表情には心底嫌悪する雰囲気はない。

「面倒くさい女上等です」

「嫌な女」

「嫌な女も上等です」

もうなんと言われようと石堂さんについていくと決めた。罵られようと貶されようと、私の気持ちは変わらない。

「馬鹿な女」

「もう、馬鹿でもアホでもいいです」

「ぷっ」

石堂さんは手にしていた雑誌に顔を埋めたかと思うと、肩を揺らしてクツクツと笑いだした。

人がまじめに話しているのに! 笑うなんてひどい――。

と思いつつも、滅多に見せない石堂さんの笑った顔を見ていたら、そんな溜飲もすっと下がってしまった。
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