私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
クリスマスメニューのために試行錯誤している石堂さんを差し置いて、場違いなことを考えていた自分が恥ずかしくなった。

「これ、雅人さんが提案しているチョコレートマッドケーキの試作品」

カウンターの上に出されたそのマッドケーキは、真っ白な皿に載っているせいか、深みのあるチョコレート色が際立って見えた。

「わぁ、美味しそう!」

濃い目のチョコレート色に真っ白なアイシングシュガーが降りかかっていて、クリスマスらしい見た目だ。マッド(泥)というだけあって食べ応えもありそうだった。

「見ただけでヘビーだろ? 食ってみな」

出されたフォークと皿を受け取る。ふわっと甘いチョコレートの香りに煽られ、思わず……。

ぎゅるる~。

ありえないくらい大きな腹の虫が静かな店内に鳴り響く。

「あ、はは……今の聞こえちゃいました?」

もう~こんな時に恥ずかしすぎる――!

顔が真っ赤になっていくのを誤魔化すように、何度もお腹を撫で回す。思えば昼から何も食べていなかった。
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