私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「危ねっ!」

グラスはスローモーションのように落ち、硬質な音を立てて床の上で弾けた。

「す、すみません! あ……」

よろけた私の腰に腕を回し、石堂さんが私をがっちり支えている。気が付くと、その支えに私は無意識でしがみつくような姿勢になっていた。腕まくりをして初めてわかった石堂さんの逞しい腕に、私の胸がドキドキと高鳴りを覚えた。

「大丈夫か?」

「あ、は、はい……」

石堂さんの高身長に見下ろされて、私は思わず惚けてしまう。

「ったく、ちっせぇくせに無理するからだ」

「すみません……」

び、びっくりした――!

そんなことよりどうしよう! お店のグラス割っちゃった――。

「あ、あの、すぐに片付けますから!」

「あ、馬鹿! 触るな!」

完全な不注意だ。石堂さんの言葉も耳に入らず、あたふたしながら割れた破片をかき集めようとすると、小指にチリっとした鋭い痛みが走った。

「痛っ」

足元は薄暗く、大きな破片に気づかなかった。小指を見ると、じわじわと真っ赤な血があふれ出てきた。

もう~私の馬鹿、ドジ――。
< 108 / 294 >

この作品をシェア

pagetop