私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「そんな、そんなことないわよ、うちの会社もスフラグループと肩を並べられるように、年々規模を拡大させていますのよ? 荒い仕事だなんて……ねぇ?」

一ノ宮さんをフォローするかのように、母が「ほほほ」と笑って緊迫した雰囲気をなんとか取り繕う。相槌を求める母だったけれど、一ノ宮さんの表情は硬いままだ。

「そうですか、それは何よりです。けれど、これを聞いては……さすがに不信感を否めませんね」

すると、石堂さんはおもむろにポケットからICレコーダーを取り出して、ためらいもなく再生ボタンを押した。
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