私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「そのICレコーダーを、世間にぶちまけるつもりか?」
「いいえ、今すぐお引き取り願えるのなら……それと、金輪際、里美さんに接触しないというのであれば、話は別です」
それを聞くと、一ノ宮さんは大きくため息をついた。
「……わかった。そのようにしよう、こちらの負けだ。おい、帰るぞ」
「そ、そんな! だって――」
「相手が悪すぎた」
食い下がる母に、一ノ宮さんがピシャリと言う。すると、今度こそ母は諦めたように、放心したままゆっくりと席を立った。中央に座っていた私は、一ノ宮さんを通すために、母に続いて席を立つ。
「あぁ、言っておきますけど、この音源は消去せずに保管しておきますから、そのつもりで……」
石堂さんが一ノ宮さんの背中にそう言うと、母も一ノ宮さんも無言で眉間に皺を寄せたまま、障子戸を開けて部屋を後にした。
いったい……なにが、どうなってるんだか――。
ただただ呆然として立ち尽くしていると、石堂さんが急に立ち上がって勢いよく障子戸を閉めた。
「あ……っ」
次の瞬間、肩を掴まれて私の身体がくるりと石堂さんに向かせられると、その広い胸に抱きすくめられた。
「いいえ、今すぐお引き取り願えるのなら……それと、金輪際、里美さんに接触しないというのであれば、話は別です」
それを聞くと、一ノ宮さんは大きくため息をついた。
「……わかった。そのようにしよう、こちらの負けだ。おい、帰るぞ」
「そ、そんな! だって――」
「相手が悪すぎた」
食い下がる母に、一ノ宮さんがピシャリと言う。すると、今度こそ母は諦めたように、放心したままゆっくりと席を立った。中央に座っていた私は、一ノ宮さんを通すために、母に続いて席を立つ。
「あぁ、言っておきますけど、この音源は消去せずに保管しておきますから、そのつもりで……」
石堂さんが一ノ宮さんの背中にそう言うと、母も一ノ宮さんも無言で眉間に皺を寄せたまま、障子戸を開けて部屋を後にした。
いったい……なにが、どうなってるんだか――。
ただただ呆然として立ち尽くしていると、石堂さんが急に立ち上がって勢いよく障子戸を閉めた。
「あ……っ」
次の瞬間、肩を掴まれて私の身体がくるりと石堂さんに向かせられると、その広い胸に抱きすくめられた。