私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
――お前、やることなすこと手際悪すぎ。

――次に自分がやらなきゃなんないことが、全然頭に入ってない。

今日は、金曜日。レッスンを始めてから四日が経った。

石堂さんは問答無用に手厳しかった。悔しいけれどなにも言い返せない。彼の言っていることは、どれも筋が通っていて隙がない。けれど、嬉しいことがひとつあった。ようやくレッスン四日目にして、石堂さんが、「やっと客に出せる味になってきた」と言ってくれたのだ。

厳しいのはわかってたけど、やっぱり色々へこむ――。

石堂さんの言っている意味をよりよく理解するため、自身で本を読んだり調べたりした。浅煎りと深煎り、同じ要領で淹れてもまったく香りも風味も違う。湯を注ぐスピードでも味が変わってしまうなど、いまさらながらコーヒーの世界は奥深かった。そして知れば知るほど興味が湧いてくる。

新しい知識と技術を身につけると同時に、石堂さんに少しでも近づけるような気がした。
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