【短】コンソメスープが重たくて


「はい。今日で終わります」

「……寂しいな」

「いつも、ありがとうございます。すごく嬉しかったです」



 瑠美は彼の目を見つめて言う。
 すると、なぜか急に切ない気持ちになった。


 この常連客とも会えなくなるのだと、改めて思ったからだ。



 終わりを実感したのは、まさに今だったのかもしれない。
 いつもの笑顔が作れないことに、瑠美は戸惑う。



「僕、瑠美さんのコンソメスープが好きなんです」

「え。ナポリタンじゃなくて?」

「ははっ。ナポリタンも好きだけどね」



 笑うとくしゃっと皺が刻まれる。瑠美はそんな彼の笑顔が好きだ。



「すごく美味しくて、優しくて」

「他のメニューも美味しいのよ」

「だって……」



 彼は言葉に詰まる。
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