悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
特に会話はなく黙って並んで歩いていたのだが、もう少しで国王一家の居間に差しかかるというところで、私は「ごめんなさいね」と彼女に謝った。
「え?」と目を瞬かせている彼女に、私は小さく首を横に振る。
「なんでもないわ。気にしないでください」
「そ、そうですか……」
ルアンナ王女はきっと、今日は一日中機嫌が悪いことだろう。
王女付きの彼女は手を焼くはずで、そのことについての謝罪だったのだが、詳しい説明をしてあげることはできない。
するとそのとき、数歩先にあるドアの内側から、「キャー!」と甲高い悲鳴があがった。
バッカス夫人も他の侍女たちも、驚いて足を止める。
驚いてはいないが私も立ち止まると、居間のドアが勢いよく開けられて、ルアンナ王女が憤怒の表情で飛び出してきた。
彼女は栗色の艶やかな髪をして、整った面立ちをしているが、気の強い性格が目や口元に表れ、男性を寄せ付けにくいのではないかと思われる。
他国の王家との縁談話が上がっていても、向こうの王子がのり気ではないらしく、うまく話が纏まらないそうだ。
王妃が、バッカス夫人にこぼしていたその愚痴を、私は数日前に耳にした。
ルアンナ王女はすぐに私を見つけ、バッカス夫人を押しのけるようにして詰め寄った。
その手は、小さめのレースのテーブルクロスを握りしめている。
「オリビアさん、これはあなたの仕業ね!?」
「え?」と目を瞬かせている彼女に、私は小さく首を横に振る。
「なんでもないわ。気にしないでください」
「そ、そうですか……」
ルアンナ王女はきっと、今日は一日中機嫌が悪いことだろう。
王女付きの彼女は手を焼くはずで、そのことについての謝罪だったのだが、詳しい説明をしてあげることはできない。
するとそのとき、数歩先にあるドアの内側から、「キャー!」と甲高い悲鳴があがった。
バッカス夫人も他の侍女たちも、驚いて足を止める。
驚いてはいないが私も立ち止まると、居間のドアが勢いよく開けられて、ルアンナ王女が憤怒の表情で飛び出してきた。
彼女は栗色の艶やかな髪をして、整った面立ちをしているが、気の強い性格が目や口元に表れ、男性を寄せ付けにくいのではないかと思われる。
他国の王家との縁談話が上がっていても、向こうの王子がのり気ではないらしく、うまく話が纏まらないそうだ。
王妃が、バッカス夫人にこぼしていたその愚痴を、私は数日前に耳にした。
ルアンナ王女はすぐに私を見つけ、バッカス夫人を押しのけるようにして詰め寄った。
その手は、小さめのレースのテーブルクロスを握りしめている。
「オリビアさん、これはあなたの仕業ね!?」