悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
迷惑顔をされても、侮辱を受けたままで帰すわけにはいかない。

私は足早に母娘に近づき、退路を塞ぐように前に回り込んでロザンヌ嬢の顔を覗き込む。

目を合わせようとしない彼女の顔色はよく、疲れた様子には見えないけれど、「ご気分がすぐれませんの?」と心配してあげた。

それから手を伸ばし、彼女の首回りを華やかにしている三連のネックレスに触れる。


「この重そうなダイヤのネックレスは外した方がいいのではないかしら? 具合が悪いのでしたら、少しでも楽な格好をなさるべきですわ」


仕返しできると思えば心が弾み、口の端に腹黒い笑みを浮かべてしまう。

それによって私の企みごとに気づいた様子の侯爵夫人が、慌てて私の手を払いのける。

焦るロザンヌ嬢は、自慢げだったネックレスを急いで両手で覆い隠した。


「オリビアさん、どうかーー」という彼女の懇願は、母への侮辱に腹を立てている私の耳には入らない。

周囲の人たちに聞こえるよう、声を大にして、ロザンヌ嬢の化けの皮を剥いでやった。


「まぁ、ダイヤかと思っておりましたのに、それはもしやガラス玉ですの!?」


私の狙い通り、皆の関心がロザンヌ嬢に集まり、参加者の婦人たちが隣同士でヒソヒソと話しだす。


「お聞きになりました? ガラスですって」

「人を欺いてまで見栄を張りたいのかしら。いやらしいわね」
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