悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
紫色のドレスが母親のお下がりであることについては、わさわざ私が指摘しなくても勝手に気づかれたようだ。

「ロザンヌさんのあのドレス、侯爵夫人が娘時代に着ていらしたものではないかしら?」と昔を思い出したように言う、中年の婦人の声が聞こえてきた。


非難めいた視線を浴びて、アクベス母娘の顔色は青くなる。

けれども好戦的な光は四つの瞳から消えず、まだ形成逆転を狙って策を練っているような気がしてならない。

プレッシャーを与えようと私が半歩距離を詰めれば、ふたりは同じ歩幅で後ずさる。

すると苦し紛れのように、ロザンヌ嬢が私の髪を指差して鼻を鳴らした。


「前々から思っておりましたけど、その髪色はおかしいですわ。白髪みたいよ」


残念ながらその口撃は、私に掠り傷さえ与えない。

母譲りの稀有なこの髪は、幼い頃から周囲に美しいと褒められてきて、自分でもそう思っている。

光に当たれば銀色に輝き、艶のない白髪とはまったくの別物であった。

けれども今度は侯爵夫人が髪飾りについて指摘してきて、それには私の頬はピクリと震え、笑みは固まる。


「ご自分で選ばれたものなら、残念なご趣味ですこと。髪色と同化して目立たない上に、質素に見えますわ」

「これが残念ですって……?」

「ご自覚がないとは悲しいことね。貴族女性として生まれたからには華やかに着飾ることは責務なのよ。そのように手を抜いていらしては、将来のあなたの夫は恥をかくことでしょう」

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