悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
その話は夫人にとって初耳ではないだろう。結婚前には相手のことを色々と調べるものだから。
けれども他の婦人たちがいる場で大きめの声で暴露されては、耳まで顔が真っ赤に染まり、怒りと羞恥でかなり動揺しているのが見て取れた。
「わ、わたくし、気分がすぐれませんので、今日はこれで失礼させていただきますわ!」と声を裏返して主催者に断りを入れた彼女に、周囲からクスクスと笑いが起きる。
はしたなく駆け出した彼女の後ろ姿は、すぐに展示場から見えなくなった。
ひとり片付けて、次は誰にしようかと残るふたりの取り巻きに視線を向けた。
そうしたら、ふたりは慌てたように逃げ出そうと踵を返し、お互いにぶつかりあって、尻餅をついている。
その喜劇のような滑稽さに周囲の参加者たちがドッと笑い、私はなにもしていないというのに、取り巻きのふたりも辱めを受ける結果となった。
小者はこれくらいでいいとして、次は厄介な大物にやり返さなくては……。
分が悪くなったと感じてか、アクベス母娘はそろりそろりと、彫像のそばから一馬身ほど離れていた。
私よりドア側にいるふたりの背に声をかけて足を止めさせ、顔だけ振り向いた侯爵夫人に私は問いかける。
「どちらへ行こうとされているのかしら? まだお話は終わっておりませんわ」
「また今度にしてくださいません? ロザンヌが疲れたと言っておりますの」
けれども他の婦人たちがいる場で大きめの声で暴露されては、耳まで顔が真っ赤に染まり、怒りと羞恥でかなり動揺しているのが見て取れた。
「わ、わたくし、気分がすぐれませんので、今日はこれで失礼させていただきますわ!」と声を裏返して主催者に断りを入れた彼女に、周囲からクスクスと笑いが起きる。
はしたなく駆け出した彼女の後ろ姿は、すぐに展示場から見えなくなった。
ひとり片付けて、次は誰にしようかと残るふたりの取り巻きに視線を向けた。
そうしたら、ふたりは慌てたように逃げ出そうと踵を返し、お互いにぶつかりあって、尻餅をついている。
その喜劇のような滑稽さに周囲の参加者たちがドッと笑い、私はなにもしていないというのに、取り巻きのふたりも辱めを受ける結果となった。
小者はこれくらいでいいとして、次は厄介な大物にやり返さなくては……。
分が悪くなったと感じてか、アクベス母娘はそろりそろりと、彫像のそばから一馬身ほど離れていた。
私よりドア側にいるふたりの背に声をかけて足を止めさせ、顔だけ振り向いた侯爵夫人に私は問いかける。
「どちらへ行こうとされているのかしら? まだお話は終わっておりませんわ」
「また今度にしてくださいません? ロザンヌが疲れたと言っておりますの」