悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
私はこれをとても気に入っている。

そっと私の髪に咲くバラは、控えめだからこそ上品で美しいと思えるのだ。

色鮮やかなリボンや宝石で髪を飾るより、これをひとつつけている方がその日を気持ちよく過ごせる気がしていた。

私の髪色に似合うと言って贈ってくださったレオン様の優しさが、髪から染み込んでくるようで温かな気持ちにもなれる。

レオン様の心をけなされたような気がして、私は侯爵夫人の言葉に怒りを覚えていた。


もちろん夫人は、この髪飾りが彼からの贈り物だと知らずに非難したわけで、私の表情が曇ったのを見てニンマリと笑っている。

そしてとどめだと言わんばかりに、強気な口調で言い放った。


「オルドリッジ公爵が色々と画策されているようですけれど、あなたは王太子妃に相応しい女性とは言えませんわ。優位なお立場にいると、勘違いなさいませんように」


すぐに言い返すのではなく、私は口を噤んでしばし考え込んだ。

自分でも、レオン様に相応しい娘ではないと思っている。

それは装いがどうこうというのではなく、心の問題で、清らかな彼に腹黒い私は似合わないと感じているのだ。

しかしながら、アクベス家の人間に指摘されると、このまま引き下がるつもりでいても、いいのだろうか?という気持ちになる。

私が辞退すれば、ロザンヌ嬢が彼の妻となる可能性も十分にあるからだ。

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