悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
私が城に住まうようになる前は、誰が王太子妃になっても構わないと思っていた。

私であっても、他の令嬢であっても、ロザンヌ嬢であってもだ。興味が薄かったと言った方が適切かもしれない。

それが今は、ロザンヌ嬢だけは王太子妃にしたくないという思いに変わっていた。

遺恨のあるアクベス家の娘だからということではなく、彼女自身に嫌悪を抱いている。


私の母は努力家で、凛として優しい立派な人よ。

敬愛する母を侮辱するような人に、レオン様の妻になってほしくないわ……。


周囲は私たちのどちらかに加勢するのではなく、ヒソヒソと話しながらこの戦いの行方を見守っているだけだ。

王太子妃が確定となるまでは、どっちにも擦り寄るべきではないと考えていそうで、誰だって損をしたくないのだから、それは当たり前のことだった。

私の中にはまだ、積極的に王太子妃を狙う気持ちは定まっていないけれど、ここでロザンヌ嬢に負けるのは嫌なので、口を開いた。

「今のところ、最有力候補はわたくしのようです」と冷静さを装って静かな口調で反論すれば、顔を見合わせた母娘がオホホと耳障りな笑い声をあげた。


「この前、王妃殿下を我が家のお茶会にご招待いたしましたの。その時に、あなたへの不満を仰っておいででしたわ。ロザンヌのことは気立てのよい娘だとお褒めくださいましたのよ」

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