悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
王妃がアクベス家と親交が厚いのは知っている。きっと侯爵夫人と気が合うのだろう。

逆に私や母とは相性が悪いので、王妃に決定権があるのだとすれば、王太子妃に選ばれるのは間違いなくロザンヌ嬢だ。

しかし一番大きな権限を持つのは、妻を娶る本人である、レオン様であるはずだ。


彼の気持ちがなにより重要だと教えてあげるべきかと迷ったが、新たな疑問が湧いて、はたと考え込む。

レオン様はどの程度、私にお心を寄せていらっしゃるのかしら……?


今まで思わせぶりな言動が何度かあったように思うけれど、はっきりと求婚されたわけではない。

あくまでも私は花嫁候補のひとりにすぎず、今後、彼に失格の烙印を押される可能性もあるのだ。

レオン様は私をどう思っているのだろう。そして、私はなぜ、こんなにも動揺しているのかしら……。


考えれば考えるほど鼓動が加速して、胸がしめつけられるように苦しくなっていた。

この美術館に到着した時、彼と踊ったダンスの曲数で、ロザンヌ嬢に負けたことを思い出し、ロビーで不愉快になっていた。

嫉妬のような気持ちが湧いた理由を、深く考えるまいとしていたのに、今、私の頭は勝手に答えを見つけ出そうと働き始める。

その答えが、心の泉に雫が垂れるようにポタリと落ちてきて、甘い香りを放って広がった。

恋……。

私は初めての恋をしているのだわ。

「レオン様に……」

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