悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
無意識に彼の名が口について出てしまい、ハッとした時には遅かった。
王太子を名前で呼ぶことを許される女性は、王族の他にはきっと私だけ。
そこまでの仲になっているのかと、侯爵夫人は目を見開いてから、殺気立った顔で睨んできた。
ロザンヌ嬢は顔を真っ赤にして片足を踏み鳴らし、嫉妬と悔しさを爆発させる。
「なぜなの!? わたくしは勉強も人付き合いも、着飾ることにも手を抜いたりしなかったわ。誰より王太子妃に相応しいはずなのよ。そんな地味な髪飾りをつけるあなたなんかに、負けてなるものですか!」
ロザンヌ嬢の右手が、私に向けて伸びてきた。
頬を叩かれるのかと思い、両手で顔をかばったが、彼女の手が掴んだのは銀のバラの髪飾りだった。
あっと思った時には髪を数本引きちぎられるようにして奪われて、力一杯、硬い床に投げつけられる。
大きな音を響かせて叩きつけられた髪飾りは、私の後ろへと、大理石の床を滑るように飛ばされた。
私の大切な髪飾りが……。
「ああっ!」と悲痛な叫びをあげ、私は踵を返して駆け出した。
髪飾りはドア近くまで飛ばされていて、それを床に両膝をついて拾い上げ、慌てて確認する。
どこも壊れていないようだけど、よく見ればバラの花びらに線状の細かな傷がついてしまっている。
磨けば消えるだろうかと、床に座り込んだままでスカート生地で懸命に擦っていたら、「オリビア」と正面から声をかけられた。
王太子を名前で呼ぶことを許される女性は、王族の他にはきっと私だけ。
そこまでの仲になっているのかと、侯爵夫人は目を見開いてから、殺気立った顔で睨んできた。
ロザンヌ嬢は顔を真っ赤にして片足を踏み鳴らし、嫉妬と悔しさを爆発させる。
「なぜなの!? わたくしは勉強も人付き合いも、着飾ることにも手を抜いたりしなかったわ。誰より王太子妃に相応しいはずなのよ。そんな地味な髪飾りをつけるあなたなんかに、負けてなるものですか!」
ロザンヌ嬢の右手が、私に向けて伸びてきた。
頬を叩かれるのかと思い、両手で顔をかばったが、彼女の手が掴んだのは銀のバラの髪飾りだった。
あっと思った時には髪を数本引きちぎられるようにして奪われて、力一杯、硬い床に投げつけられる。
大きな音を響かせて叩きつけられた髪飾りは、私の後ろへと、大理石の床を滑るように飛ばされた。
私の大切な髪飾りが……。
「ああっ!」と悲痛な叫びをあげ、私は踵を返して駆け出した。
髪飾りはドア近くまで飛ばされていて、それを床に両膝をついて拾い上げ、慌てて確認する。
どこも壊れていないようだけど、よく見ればバラの花びらに線状の細かな傷がついてしまっている。
磨けば消えるだろうかと、床に座り込んだままでスカート生地で懸命に擦っていたら、「オリビア」と正面から声をかけられた。