悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
「お母様からだわ! 中はなにかしら?」

母と定期的に手紙のやり取りはしているが、私宛てに荷物が送られてくることは滅多にない。

心を弾ませて紐を解き、茶色の包装紙を剥がせば、中から丈夫な紙箱が現れた。

その蓋を開けて、私は目を瞬かせる。


入っていたのは帽子だった。

大きな鍔を折り曲げたような二角帽子には、大量の羽飾りがついている。

まるで鳥そのもののように、帽子の生地が埋もれるほどの羽根だ。

おかしなデザインに加えて、やけに小さいことにも首を傾げる。

生まれたての赤子のサイズの帽子を、私に送った理由はなにかしら……?


帽子を取り出し、不思議に思って眺めてから箱の中に視線を戻すと、手紙を見つけた。

開いてみると【私の可愛いオリビア、元気にしていますか?】という書き出しの手紙には、こんな帽子の説明が綴られていた。


【これが届くのはきっと、ダービーの前日でしょう。誰のための帽子であるのか、あなたなら言われなくてもわかるわよね? 大切なお友達とダービーを楽しんで】


それを読んで私はやっと理解した。
これはアマーリアのための帽子なのだと。

ダービーというのは、年に八回開催されている、国が認める非営利団体主催の競馬のことだ。

それは貴族や裕福な商人たちの娯楽となっていて、賭事による収益は、孤児院や貧しき者を支援する団体へと寄付される。
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