悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
ダービーは社交の場でもあって、見物人には正装が義務付けされている。

とはいっても、畏まった服装ではなく、娯楽性の強い装いが好まれる。

特に女性の帽子は面白い。

顔が見えないほどに鍔広で、上には作り物の動物をあしらっていたり、かつて私が参加したときには、戦艦を頭にのせているのかと見紛うような目立つ帽子の婦人もいた。


つまり母が送ってくれたこの帽子は、アマーリアのダービー用の帽子で、明日、一緒に連れて行ってあげなさいということのようだ。


ユニークな心遣いに、フフッと声に出して笑ってから、「でも……」と呟いた。

今日のお茶の時間、レオン様から明日のダービーに一緒に行こうと誘われて、それを断っていた。

アクベス侯爵家の人たちと顔を合わせる機会を、なるべく少なくしたいからだ。

また母を貶めるようなことを言われたら、我慢できずに私もロザンヌ嬢たちを侮辱してしまうかもしれない。

『いつも笑顔で、人に優しく』というレオン様の教えを守りたい気持ちはあるけれど、それはまだ私の中に染み付くまでには至らず、笑顔もぎごちないので心配だった。

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