悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
振り向けば、馬券売り場の建物の横にたむろしている六人の婦人の集団が見える。

その中にアクベス侯爵夫人とロザンヌ嬢の姿があった。

集団の視線は私に向けられていて、羽根扇で口元を隠してヒソヒソと話しては、大きな笑い声をあげていた。


アクベス家以外の人たちは、オルドリッジ家と友好関係にある伯爵家の夫人や娘だ。

いつもなら私の悪口を表立って言えない立場であると思われるけれど、今は私にわかりやすい敵意を向けている。

有力ではないが、レオン様の花嫁候補に名を挙げていた令嬢が、集団の中にふたり混ざっているので、敵の敵は味方だという心理が働いて、ロザンヌ嬢と仲間意識が芽生えてしまったようだ。


冬晴れの空に、広々としたダービー場。
冷たく凛とした空気が気持ちいいと思ったばかりだったのに、私はムッとしてしまう。

そして頬を膨らませた自分に気づき、腹を立ててはいけないと、慌てて心に言い聞かせていた。

喧嘩をしてはいけないわ。人に優しく、いつも笑顔でいなければ。

湧き上がる不快感と葛藤しながら、三馬身ほど離れた場所にいる集団を気にしていたら、左隣をゆっくりと歩いているレオン様が急に右に移動してきて、悪意のある視線から私を隠してくれた。

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