悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
装いが控えめであることを見下されたら、「あなたのお帽子は華やかで素敵ね」と私は褒め言葉を返した。

人形を抱いていることで子供みたいだと馬鹿にされれば、「ご注意をありがとうございます」と目を細めて口角をつり上げた。

無理な笑顔を保持し続けていると、頬がプルプルと震えてくる。

そろそろ苦しくなってきたわ……顔も心も。


染み込んでいる心の黒さを漂白するのは、やはり難しい作業だ。

反撃したいという欲求がフツフツと胸に湧き上がるのを感じ、それを閉じ込めて溢れ出さないように耐えていたら、「オリビア!」と焦ったような声を後ろに聞いた。


振り向けば、駆け寄ってきたのはレオン様で、長話をしていたジャノグリー卿は、遠くから物惜しげな顔でこちらを見ている。

レオン様は私の挨拶相手がアクベス家の婦人たちだと気づいて、ジャノグリー卿との会話を切り上げ、慌てて助けに来てくれたことが推測できた。


隣に並んだレオン様は、すまなそうな目で私を見る。

優しい彼のことだから、きっと自分が長話に付き合っていたばかりに嫌な思いをさせてしまったと後悔していそうな気がした。

私は小さく首を横に振り、「楽しくお話ししておりましたの」と心配いらないことを伝えた。


「え、そうなの?」

「はい。皆さんはアマーリアに興味を示してくださいました。お帽子を比べて褒めあったりと、ロザンヌさんたちとお話しするのは楽しいですわ」

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