悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
私たちは観客席を下りて、先ほどまでレースが行われていた広大な芝生の上を歩いた。

見知った貴族たちが何組か近寄ってきて、挨拶を受けるというのを数回繰り返す。


そうしているうちに、体験乗馬用の馬が何十頭も厩舎から連れられてきて、希望者の男性が次々と馬に跨り、走らせ始めた。

それを横目で見ているレオン様は、「俺たちはひと通り挨拶したら帰ろうか」と言い出す。

その声色はなんとなく物足りなさそうで、本心では彼も馬に乗りたがっているのを察した。

城内にも馬場はあるけれど、ここまで広くない。

馬に乗った男性たちは自由に走らせて、実に気持ちよさそうだ。


レオン様にも乗馬を楽しんでもらいたいわ……。

でも、私がそうしてくださいと言ったところで、彼なら頷かないだろう。

私をひとりにしたくないと言うに違いない。


申し訳なさを感じていると、「ご婦人方はこちらへどうぞ」と誰かが声を張り上げた。

声のした方へ振り向けば、馬を並べた近くでは、数人の婦人が列をなし、乗馬の順番を待っている。

今までは男性のみであったのに、今回は女性も体験できるようになったみたい。

スカートで跨ることはできないので、女性用に用意された馬には、背もたれと肘掛けのついた横座りできる特殊な鞍がつけられていた。

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