悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
こんなに大勢がいる場で、しかも他の婦人たちと同じ行動を取っているというのに、どんな危険がこの身に降りかかるというの?

嫌な予感がしたのは、気のせいに違いない。

アクベスの名に過剰反応してしまう私が未熟であり、他人を信じる優しい心を養わなくてはと自分を戒めていた。

そうですよね、レオン様……。


遠くで黒馬を走らせている彼を目で追い、清らかな心持ちでいようと努力する。

船会社の母娘はそれぞれ一頭ずつの馬に乗って、係りの者に綱を引かれながら芝生を進んでいた。

広大な楕円形の芝の外周は、男性たちが操る馬が駆けていて、中心付近では小さな円を描いて、婦人を乗せた馬がゆっくりと歩いている。


私の順番が来て、三段の階段状の木箱に足を乗せる。

落ちないようにと、横から手を差し伸べてくれるのは、赤い上着の狐目の若い男性……アクベス家の騎手だった。

警戒しそうになる心に、疑ってはいけないと言い聞かせ、作り笑顔でその手に掴まり、栗毛の馬の鞍に横座りした。


背もたれと肘掛けのついた鞍は、ひとりで乗っても体が安定する。

右手で肘掛けをしっかりと掴み、左腕にはアマーリアを抱いたまま、「いいわ」と騎手に声をかけた。

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