悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
すぐにドアを開けてくれたのは、近侍のグラハムさん。

私の訪室に目を瞬かせている彼に、「あの、レオン様のご容態は」と詰め寄るように話しかければ、薄明かりの灯る部屋の奥から、「オリビア、お入り」と愛しき彼の優しい声がした。

グラハムさんが一歩横にずれてくれて、私はレオン様の怪我の程度をハラハラと心配しながら、「失礼いたします」と室内に足を踏み入れる。


私の部屋の三倍ほども広い彼の寝室は、落ち着いたデザインの調度類が配され、絨毯やカーテンは藍色でまとめられていた。

手前にテーブルセットがあり、部屋の最奥には薪が赤々と燃える暖炉。

大きなベッドは中央よりやや奥に置かれていて、城医と助手の男性のふたりがレオン様に付き添っていた。


彼は大きな枕を重ねたものに背を預け、上体を起こして私に視線を向けているようだ。

壁の燭台ひとつにしか火が灯されていないため、その表情はここからではわからず、「近くにおいで」と彼に言われて歩み寄る。

薄暗い中でも、彼の瞳が見える位置まで近づけば、私の頭から爪先までに視線を往復させた彼がクスリと笑った。


「靴も履かずに来たのかい? 俺はこの通り大丈夫だよ。安心していい」
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