悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
「わかっていても言われたい。城医が言ってたよ。喜び楽しむことは薬だと。気持ちを明るくすれば、怪我の治りが早いそうだ」


そうなのかしら……。

甘い言葉は苦手でも、治癒に有効というのなら、積極的に口にしようと思う。

照れくささに泳がせていた視線を彼の瞳にとめて、息のかかる距離で私は告げる。


「レオン様を愛しております……」


鼓動が振り切れそうなのは、愛の告白をさせられたからだけではない。

彼の左手が私の背中を撫でている。

寝間着越しに艶かしい手つきでなにかの模様を描くから、ゾクゾクと肌が粟立っていた。

私は両手を彼の胸に添えていて、その逞しさを薄布を通して感じては、熱い吐息をもらしてしまう。

火照らされ、のぼせそうな私の顔を満足げに見つめる彼は、「足りないな。もう一度」と囁くように催促してきた。


「愛しております。とても深く、誰よりも……」

「もう一度」

「愛して……んっ」


再び重ねられた唇は、すぐに深くなり、淫らに動く彼の舌使いにとろけそうになる。

静かな部屋には、薪の弾ける音と、ふたりで奏でる水音しか聞こえない……と思ったら、急にドアの外が騒がしくなる。
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