悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
「レオン様は、どこの扉かをお教えくださるだけで構いません。後のことは、わたくしがひとりでいたします」


厳しい口調でそう言ってから声色を和らげ、「わたくしたちの未来のために」と微笑んだら、彼は椅子から立ち上がり、私を両腕で優しく包んだ。


「そんなに可愛いことを言われたら、反対できないな。だが、君ひとりではやらせない。俺もその企みに乗ることにしよう」


腕の力が緩んだので、彼の肩につけていた額を離し、麗しき顔を仰ぎ見る。

するとその直後に口づけを与えられた。

こんなことをしている場合ではないと思うのに、胸は高鳴り、キスの甘さにとろけそうになる。

ふたりの唇の温度が同じになるほどにたっぷりと口づけてから、のぼせそうな顔の私を満足げに眺めて彼は言った。


「早くキスの先に進みたい。そのためには母上を懐柔させないとね」


キスの先になにがあるのか……それを想像させられて、私は心臓を跳ねらせ、動揺を顔に表してしまう。

クスリと笑った彼は、「行こうか」と挑戦的な目をして口の端をつり上げた。

頷いた私は照れくささから抜け出して、同じようにほくそ笑んでみせる。

彼と一緒に執務室を出て、向かった先はもちろん、この鍵の合う扉がある場所だ。
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