悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
彼に案内されて、入り組んだ屋敷内を東へと進む。

一階の東棟の豪奢な廊下は、途中から石造りの味気ない通路に変わる。

初めて足を踏み入れた場所に不安を覚えたら、即座に察してくれたレオン様が私の手を握ってくれた。


「大丈夫だよ。その角を曲がればこの屋敷の東にそびえる尖塔に出る。見張りの兵もいるし、危険はなにもないから」


頼れる手の温もりと私を思い遣る言葉に緊張は和らいで、彼に手を引かれるようにして通路を進み、尖塔の中へと足を踏み入れた。


中は螺旋階段が伸びているだけで、なにもない。

窓は頂上付近の見張り台にしかないそうで、石積みの壁のところどころには、ランプが吊るされていた。

「ゆっくりでいいから、ついてきて」と手を離した彼は、狭い階段を地下へと下りていく。


コツンコツンとふたり分の靴音が、薄暗い塔の中にこだまする。

地下二階分を下りて行き止まった場所には、鉄のドアがふたつあった。

ひとつは兵舎と地下通路で繋がっているそうで、そのドアが急に開くと、誰だ?と言いたげな顔をした若い兵士にランプの明かりを向けられる。

眩しさに私たちが目を細めたら、「し、失礼しました!」と慌てた兵士がランプを下ろした。

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