夫を奪った悪女K子さんへの手紙
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K子さん。届くはずのない手紙を書いています。
私は作家志望です。
作家というものは、たとえ自分の家が燃えても、自分が牢屋にいれられても、「ああ、これで本が書ける、シメタ。」と思うものだそうですが、夫が悪女につかまった上の浮気だけは違う、これだけは在ってはならないと確信しました。

ダッテ私自分でもおかしいくらいこの事件が発覚時から冷静さを失いメランコリックになってしまいましたから。
少しだけ冷静になったので、今これをK子さん、貴方にかいています。

貴方は女として、人の妻として、そして人間としてやってはいけないことをやり、そしてけじめもつけず、サーッと逃げてしまいました。

それは卑怯でずるいと言えると思います。
あなたは自分が何をしたか解っていますか。
貴方は、私の夫を誘惑し、6年間も好きほうだい、奴隷のように使いましたね。
悪女一人で、簡単に一人の男の人生も、その家族のすべてもひっくりかえるんですよ。

許せません。夫にとっても家族にとっても、この5、6年間は夫の真面目ヒトスジで勤め上げた仕事人生の集大成、最後の職場だったのですよ。貴方が勝手に登場したことにより、何もかも台無しにされてしまいました。

貴方は女力がある方だそうで、そんなあなたが夫を落とすことなど、赤子の手をひねるより簡単なことだったでしょう。

夫は写真もライフワークだったことはご存じでしたか。ずっと努力して学んでいたんですよ。毎日昼休みにカメラ片手に、モチーフをさがしてがんばっていたのですよ。
好きでもないのに写真をほめたりお立てたりして夫の写真展に妻を排除させて何年間もずっと付き添って行っていたり、5年間で60枚も写真を送らせたりしましたね。

人間はもろくとも強いいきものです。なんどもやられればいつか豹変するかもしれません。
私はすでに優しい主婦ではなくなりました。今あなたに毅然とたちむかいます。

夫はもう、写真はやらないといって現在、すべての写真も捨てました。勿論今は私に義理立ててそうしているのでしょうが、あなたが夫を誘惑してずっと使いまわしたからこうなったのですよ。人の人生を変えていいとおもっていますか。

あなた、会社での身分はただの派遣社員だったそうですね、夫は上司でした。夫が他の部署に異動になったのに、貴方の仲良しである高齢同僚Sさんの退職の情報をわざわざメールするなんておこがましいですよ。派遣の女性がよくそんなことできますね。

どうせ、人のよい夫が何か言ってきて又つながりが持てるだろうと、欲をだしたのでしょう。
思惑どおり、夫は貴女の罠に簡単にひっかかりました。外見通り夫は天然のダメダメ人間、正直だけが取り柄の、女などと関わったこともない男です。今回夫に聞きましたら、過去女性を誘ったことは一度もなかったそうですよ。

あなたにとってはそこがまた新鮮だったのでしょう。アバンチュールの道具に夫を利用しましたね。また、貴方は夫が全員に出したメールに一人だけ返事して、そちらの部署にいって是非見学したいと夫にいいましたね。
ずうずうしいですよ、いっかいの部下の癖に。

またSさんと三人で食事はどうかと誘いましたね。
今回事件が発覚して弁護士さんにききましたら、貴方とSさんは長いこと元々強力なチームだったそうじゃないですか。

暇な夫をうまく引きいれて、リーダー役をやらしていいようにあちこち夫にエスコートさせて、だまして便利に使っていたというじゃありませんか。

夫とはもう職場が違うのに、安心させて会うようにいつも、高齢女性のSさんを常時ともない、なんども夫の職場をたずねては、甘え、おもねり、女力全開で夫を誘惑しましたネ。

夫が貴方たち高齢女性二人の期待に応えなくちゃと思うようにしました。現在夫はそう供述しています。
夫は妻には会社に行くふりをして出かけ、密かに休暇を取りあなたたちと待ち合わせ、5年半、色々な場所を妃に使える奴隷のように案内した。

あなたたちに満足してもらうた為、うちの家族が行った場所ほとんど全部を提供し、またレストラン、カフェをネットで調べ連れて行って機嫌を取った。

いくためには毎回K子さんとなんどもメールのやりとりをした。
私に隠れてソット会社用バッグにカメラを用意し、貴方たちをモデルにとってやり、またわからないように翌日会社にもっていき、あなたにPCでおくってやった。
いつも家庭の主婦でもある貴方の為、5時には最寄駅に無事送り届けてやった。
私の男に常に守られ実にいい気分だったことでしょうね

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