イジワル外科医の熱愛ロマンス
彼である一色先生は、頭脳明晰な秀才で、学長や院長、理事長からの信頼も厚い。
おかげで、普通のドクターだと処分を恐れて院内恋愛は隠そうとするらしいけど、二人の交際は清々しいほどオープン。
なんせ美奈ちゃん、一色先生と理事長の会食にも一緒に招待されるほどで、完全に公認カップルなのだ。


「美奈ちゃん。なにも今更恥ずかしがらなくても」


講師の先生にニヤニヤ笑って言われて、美奈ちゃんはぷくうっと頬を膨らませる。


「なにも知らない宝生先生にまで、言わなくたって……」

「隠してたって、すぐに知られるよ。ラブラブだもんね、美奈ちゃん」


木山先生がちょっと芝居じみた口調でそう言うと、再びみんなが笑い転げる。
私も、二人が付き合い始めた昨年暮れのことを思い出しながら、口元を隠してクスクス笑った。


木山先生が言う通り、二人はとっても仲がいい。
一緒にいるのを見ると、羨ましいなと思ってしまう程度には。


その時なんとなく視線を感じて、そっと目線を横に向ける。
途端に、私は慌てて大きく顔を背けた。


ドキッと跳ね上がってしまった胸を宥めるように、無意識に手を当てる。
美奈ちゃんを見てると思ってたのに、主役の彼と目が合ってしまった。


なんで私を見てるの……。
もう一度横を向いてまた視線がぶつかるのが嫌で、私はしばらく目を伏せっ放しにした。
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