イジワル外科医の熱愛ロマンス
小一時間ほど経つと、いつもノリのいい心臓外科医局のドクターたちは、大変な盛り上がり様を見せていた。
それを横目に、私はトイレに中座する。
あの調子なら、しばらく私が戻らなくても、多分気付かれることはない。
気分が悪いのかと、心配されることもないだろう。
そう考えて、私は一度お店の外に出た。
邪魔にならない場所を探して、ちょっと奥まで進む。
非常階段の踊り場で、スマホを取り出す。
壁に寄りかかって操作していると、カツカツと革靴の踵を鳴らす足音が聞こえた。
私は特に気にせず、アプリを起動させる。
画面に指を走らせていると、足音が大きくなってくるのに気付いた。
どうやら、こっちに近付いてくるみたい。
まさにそう思った時、スマホに落としていた視界に、ちょっと尖った黒い靴の爪先が映り込んだ。
目の前で止まったそれに驚いて、私はハッとしながら顔を上げた。
そして。
「っ……!」
息をのみ、反射的に胸元でスマホを握りしめた。
「なあ。随分とわかりやすく無視してくれるんだな、雫」
ついさっきまで、みんなに囲まれて楽しそうにしていた主役の彼……宝生祐が、ムッとしたように口をへの字に曲げ、私を見下ろしている。
それを横目に、私はトイレに中座する。
あの調子なら、しばらく私が戻らなくても、多分気付かれることはない。
気分が悪いのかと、心配されることもないだろう。
そう考えて、私は一度お店の外に出た。
邪魔にならない場所を探して、ちょっと奥まで進む。
非常階段の踊り場で、スマホを取り出す。
壁に寄りかかって操作していると、カツカツと革靴の踵を鳴らす足音が聞こえた。
私は特に気にせず、アプリを起動させる。
画面に指を走らせていると、足音が大きくなってくるのに気付いた。
どうやら、こっちに近付いてくるみたい。
まさにそう思った時、スマホに落としていた視界に、ちょっと尖った黒い靴の爪先が映り込んだ。
目の前で止まったそれに驚いて、私はハッとしながら顔を上げた。
そして。
「っ……!」
息をのみ、反射的に胸元でスマホを握りしめた。
「なあ。随分とわかりやすく無視してくれるんだな、雫」
ついさっきまで、みんなに囲まれて楽しそうにしていた主役の彼……宝生祐が、ムッとしたように口をへの字に曲げ、私を見下ろしている。