イジワル外科医の熱愛ロマンス
どうすればハッピーエンドでゴールできるか。
どこで間違えたらノーマルエンドになるか。
現実の恋愛では、その分岐点すらわからない。


初めてのデートは、最後までガチガチに緊張したまま終わってしまった。
恋愛未経験の私は、祐と手が触れるだけで、胸の鼓動が跳ねる。
手を繋がれたらそれだけで固まり、受け答えすらしどろもどろになり、楽しむどころじゃなかった。


家の前まで送ってくれた祐は呆れたような溜め息をついた。
私の頭をグリグリと撫で、こう言った。
『急がないから』と。


『散々待ったんだ。結婚の約束したのに、俺のものにはならないと言ったお前が、俺のこと男として意識してくれてるのを見ただけで、今日のところは大収穫だ』


ハッピーエンドが約束されてない、リアルの恋の難しさに打ちひしがれていた私には、心にポッと火が灯るような、温かい言葉だった。


『お前が俺といて楽しんでくれなきゃ意味がない。次のデートでは、一度でいいから俺の顔ちゃんと見ろよ』


いつもの調子でそう言って、私に手を振って来た道を引き返して行く祐を見送り、ただただ歯痒くてならなかった。


再会してからの彼の強引さが嘘のようだ。
今の祐は、私のペースに合わせてくれる。
そんな彼の姿は、私を大事にしてくれてるからだと実感できた。
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