イジワル外科医の熱愛ロマンス
燦々と降り注ぐ太陽光の下、私たちは大学校舎から外に出て、大きく肩で息をした。
ふうっと声に出してから青い空を仰ぐ祐の隣で、私はその横顔を見つめる。


「あ~……参った。あの二人、マジ、容赦ないよな……」


そうボヤきながら、医学部棟に足を向ける祐の白衣を、私はちょんと摘まんで引き止めた。


「なに?」


短く返されたその言葉に、私は「なにじゃないです」と即座に言い返す。


「さっきの木山先生が言ったこと、私、非常に気になります」


そう畳みかけると、彼はわかりやすくギクッとした表情を浮かべた。


「どれのこと?」

「祐が東都大学の心臓外科医局を志願したのって、私がいることを知ってたからって」


明らかに惚けた様子の祐に、私は追及の手を緩めずに質問を重ねる。
祐は私からそ~っと視線を逸らし、一歩前に踏み出しながらガックリと肩を落とした。


「言っとくが、心臓外科を専門に決めたのは、そのせいじゃないぞ」

「当たり前です! 私がいたからなんてそんな不純な動機で医学に進まれても……!」

「もともと俺は東都大学で研修を受けてたんだ。心臓外科に決めた後は、もちろん入局先として第一候補だった。そこにお前がいるって知っただけ」
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