イジワル外科医の熱愛ロマンス
祐が拗ねた様子でそう説明する。
それを聞いて、私は一瞬ホッと息をついた。
ところが。


「……知ったからには、他の選択肢なんか考えなかったけどな」

「……ええっ!?」


祐が続けたその言葉には、力いっぱい目を見開いた。


「な、なにを言ってるんですか! 選べる余地があるなら、たくさんの選択肢を考えるのが祐の為なのに!」


間違ったことを言ってるつもりはない。
正直、とても嬉しい。
私と再会する為に、祐が東都大学医学部の心臓外科医局を選んだと言われれば、もちろん。


でも、ある意味、人生を決めるに等しい大きな分岐点になったはずなのに。


「俺はたくさんの選択肢なんかいらない。自分で出した答え。その後どんな展開になっても、それに突き進むのが、俺にとっての正解だ」


祐は当たり前のようにサラッと言いのけ、足を止めた。
彼の言葉にドキッと胸を高鳴らせ、立ち尽くす私を、肩越しに振り返る。


「……お前を手に入れる為なら、迷いなんかなかったよ。結果的に、俺は望むエンディングを迎えたんだから、間違ってない。それでいいだろ」


どこまでも強気に、不敵に言いのけ、彼は再び真っすぐ前を向いた。


「戻るぞ、雫」


素っ気なくそう言って、再び先に歩き出してしまうけれど……。
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