虹色キャンバス
「これ使えよ」

僕は自分の絵の具箱を安西に差し出した。


「いいの?」


「だって、なきゃ描けないだろ?」


「でも…」


近づいてきた試験官に事情を説明すると


絵の具の借用はすぐに許可された。


「実技の試験で絵の具忘れてくる奴は初めて見たぞ」


そう言うと、試験官は大きな声で笑った。


試験官は山崎だった。

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