虹色キャンバス
「じゃぁもし、石膏像の背中に大きな穴が開いていたら…」


「ん?」


「背中の穴は、どう表現したらいんですか?」


山崎の肩越しに、村上が『止めろ』と手を振っているのが見えた。


「またお前はそういう屁理屈を言う」


「でも…」


「あ~、わしゃ知らん」

山崎は雪駄をすりながら、そそくさとアトリエを後にした。


「馬鹿だなぁ、お前は」

村上がつぶやいた。

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