たった一度のモテ期なら。


もうチェックアウトしようと立ち上がっていた西山が、どさっともう一度ベッドに座った。

「なあ、俺がなんで社内で恋愛したくなかったかわかる?」

女性として意識してないから、対象外だから、めんどくさいから、じゃなかったかなと首を傾げた。

「影森みたいなのにハマったら最悪だと思ったんだよ」

結構傷つく言われようだけれど、きっとこれは悪口ではないのはわかった。私みたいってなんだろう。しかもいまは原ちゃんの話で。

でも聞き直す前に、西山は嫌なことを打ち明けるようにもう一つのことを言った。

「俺、彼女から他の奴の話とか聞くのすごい苦手」

彼女。その響きに自然と笑みがこぼれる。えー、原ちゃんでも?

「やきもちってこと?ほんと?気を付けるね。他にもあったら言って?」

「男とPC一緒に覗き込んでるのとか結構、無理」

「それ、仕事だよ」

「わかってるよ」

「気を付けてみる。そういうの気になるってすごく意外」

「悪かったな」

「ううん、嬉しい。なんていうの、そういうの?独占欲?」

「変な奴」

怪訝そうに言われたけど、私はもうにやけた顔が戻せなくて困った。だって、すごく好きってことでしょそれ。自分のことだけ見てとかそういうことでしょ?

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