たった一度のモテ期なら。
「手早いって噂あるから、気をつけろよ」

ぼそっとついでみたいに付け足してから、西山が話題を変えた。

「で、脚本のほうはどうなった?」

「あれはちょっと資料請求しただけだってば……見なかったことにして忘れてよ」

弱みを握って面白がっているんだと思ったけれど、「影森っぽいなと思って」と言葉が続いた。

「そう? どこが?」

「趣味とか皆あるだろうけど、突然脚本家って意表をついてくるところが影森っぽくて面白い」

「ただの趣味なの。スクール通う時間もお金も今は足りないし」

ふーん、とそのままゆったり笑って脚を組み直している。

「コバって映画研だからさ、見せたらアドバイスもらえるかもよ」

「だから違うってば。言わないでね」

そもそも書いてるのは児童文学で、賞に応募したら「構成が弱い」って評価シートをもらったから考えてみただけ。それもまた笑われそうで言えなかった。仕事もちゃんとできないのに何やってるんだって思われそうだ。

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